着物の染み抜き費用と方法売る前にやるべき?
着物にシミがついてしまった場合、自分で落とすべきか専門店に依頼すべきか、そして売却前に染み抜きをすべきかどうか。この記事では、シミの種類別の対処法と専門店の費用相場、売る前の染み抜きの損得判断まで詳しく解説します。
最終更新:2026年5月17日
この記事の目次
シミの種類と特徴
水溶性のシミ
お茶、ジュース、醤油、ワインなどの水溶性の汚れです。付着直後であれば比較的落としやすく、応急処置も効果的です。ただし、時間が経つと酸化して黄変し、除去が困難になります。着用後すぐに対処することが重要です。
油性のシミ
化粧品(ファンデーション、口紅)、食用油、皮脂などの油性の汚れです。水では落ちず、専用の溶剤が必要になります。衿(えり)周りのファンデーション汚れは最も多い油性シミの一つで、着用するたびに蓄積します。
汗ジミ(黄変)
汗が生地に染み込み、時間の経過とともに黄色く変色したものです。脇、背中、衿元に発生しやすく、着物のシミの中で最も多い種類です。新しいうちは目立ちませんが、数か月〜数年後に突然黄変として現れることがあります。
カビジミ
カビが繁殖した痕跡です。白カビは比較的対処しやすいですが、黄カビ・黒カビは生地の繊維まで侵食していることが多く、完全除去は困難です。カビ取りの詳細は別記事で解説しています。
染み抜きの費用相場
| シミの種類 | 難易度 | 費用目安(1か所) | 期間 |
|---|---|---|---|
| 軽度の水溶性シミ | 低 | 2,000円〜5,000円 | 1〜2週間 |
| ファンデーション・口紅 | 中 | 3,000円〜8,000円 | 1〜2週間 |
| 汗ジミ(黄変) | 高 | 5,000円〜1.5万円 | 2〜4週間 |
| カビジミ | 高 | 5,000円〜2万円 | 2〜4週間 |
| 古いシミ(酸化変色) | 最高 | 1万〜3万円 | 3〜6週間 |
| 丸洗い(全体洗い) | - | 5,000円〜1.5万円 | 1〜3週間 |
※ 費用はシミの大きさ・数・着物の素材により変動します。事前に見積もりを取ってから依頼しましょう。
自宅でできる応急処置
水溶性シミの応急処置
シミの裏側に白い布(ガーゼなど)を当て、水を少量含ませた別の布で表面から軽く叩きます。こすらずに叩くことがポイントです。汚れを下の布に移すイメージで行います。処置後は乾いたタオルで水分を吸い取り、自然乾燥させます。ただし、正絹の着物は水でシミが広がるリスクがあるため、高価な着物は応急処置せずに専門店に持ち込みましょう。
絶対にやってはいけないこと
- シミをこする(繊維を傷め、シミを広げる原因)
- 市販の染み抜き剤を使う(着物用でない溶剤は色落ちの原因)
- ドライヤーで乾かす(熱でシミが定着する可能性)
- 漂白剤を使う(脱色・生地の劣化を引き起こす)
専門店での染み抜きの流れ
1. 持ち込み・見積もり
着物を専門店(悉皆店・和装クリーニング店)に持ち込み、シミの状態を見てもらいます。シミの種類・大きさ・経過時間から、落とせるかどうかの判断と費用の見積もりが出されます。見積もりは無料の店が多いです。
2. 染み抜き処理
職人がシミの種類に合った溶剤や技法を使い、手作業で染み抜きを行います。水溶性のシミには水性の薬品、油性のシミには揮発性の溶剤を使います。古いシミや黄変には漂白処理が行われることもあります。金彩や刺繍がある部分は特に慎重な処理が必要です。
3. 仕上げ・引き取り
染み抜き後、必要に応じてプレス(仕上げ)が行われます。完了したら連絡が来るので引き取りに行きます。処理期間は通常1〜4週間程度です。仕上がりに納得できない場合は再処理を依頼できる店もあります。
売る前に染み抜きすべきかの判断基準
染み抜きした方がよいケース
- 高額な着物(作家物・伝統工芸品・ブランド品)
- 軽度のシミで費用が数千円程度で済む場合
- シミが目立つ位置(胸元・裾の正面)にある場合
- 染み抜き費用より査定アップ額の方が大きい場合
そのまま売った方がよいケース
- 一般的な着物で買取相場が数千円程度の場合
- 染み抜き費用が1万円以上かかる場合
- シミが小さく目立たない位置にある場合
- 古いシミで完全除去が見込めない場合
迷ったらまず無料査定を:染み抜きすべきかどうか判断できない場合は、シミがある状態のまま無料査定に出してみましょう。査定員から「このシミを取ればもっと高くなります」とアドバイスをもらえることもあります。売る前のクリーニングについても参考にしてください。
シミを防ぐためのお手入れ
着用後はすぐにお手入れを
着物を脱いだ後は、衣紋掛けに掛けて1〜2日陰干しして汗の湿気を飛ばします。汚れがないか点検し、衿元のファンデーション汚れなどがあれば早めに対処します。着用後すぐのお手入れが、シミの定着を防ぐ最大のポイントです。
汗をかきやすい場面では汗除け対策を
夏場や暖房の効いた室内で着物を着る場合は、汗除けの補正パッドや肌着を活用しましょう。特に脇や背中は汗をかきやすいため、汗取りパッド付きの肌襦袢がおすすめです。
定期的な虫干しで早期発見
定期的な虫干しを行い、シミの早期発見に努めましょう。早く見つけるほど染み抜きの成功率が上がり、費用も安く済みます。
シミがある着物の買取事情
シミがある着物でも買取してもらえるかどうかは、多くの方が気にするポイントです。結論から言えば、シミがあっても買取は可能です。古くてシミのある着物の買取にも対応している大手業者は多数あります。
ただし、シミの程度によって査定額は変わります。小さなシミが1〜2か所ある程度なら大幅な減額にはなりませんが、大きなシミが複数ある場合や、全体的に変色している場合は査定額が大きく下がることがあります。
重要なのは、シミがあるからと言って諦めずに、まず複数の業者に査定を依頼することです。業者によってシミの評価基準は異なるため、A社では値段がつかなかった着物がB社では数万円の値段がつくこともあります。